中学校創作脚本集 2022
ISBN
978-4-89380-511-9

中学校創作脚本集2022編集委員会

定価

2,200円

初版

2022年7月10日
ゲキを止めるな! ヒーロー編
斉藤俊雄
コロナ禍の中で、演劇は不要不急という扱いを受けたことがありました。無観客での上演という、劇が劇として成立しないような状況での上演を強いられることもありました。感染の危険性から歌うことも禁止されました。「ゲキを止めるな!」はそんな状況の中で何度も何度も止まりかける劇を、もがき苦しみながら上演に向け、そして実際の上演の中でラストシーンに向け、動かし続けていく中学生を描いた劇です。

となりの君に、
作・野元準也/潤色・横浜市立保土ケ谷中学校演劇部
都会から離れた孤島にある「綺花町」で生まれた中2のユウキと、高3の姉のコト。学校が『小中学校』の1つしかないこの街には、高校が存在しないため、高校生になると、子どもたちは自然に島から出ていき、バラバラな暮らしをすることになる。コトもその1人であった。
ユウキは、幼馴染のスミレら友人と共に島での日常を過ごしていたある日、この町の吸収合併・学校の閉校の情報を聞くことになる。コトにもその知らせは届き、驚いた同級生と共に、夏に帰省することを話し合う。
そして夏の 綺花町で、ユウキとコト、その同級生たちは、夏の風物詩である『花火大会』で一堂に会することに。
町の最後を感じ、共に過ごした時間を思い出しながら、未来への希望を見出そうとしていく。

物語が始まる
作・板垣珠美/原案・厚木市立睦合中学校演劇部
むつみ中学校へ転校してきた朱音。文芸部の同級生とともに総合の職業調べに取り組むことになったが、仲間のぎくしゃくした様子が引っかかる。しかも、自分の家庭の事情を言いたくないという思いが、自分と友人との間に溝を作ってしまう。
その人の心の真実はどこにあるのだろう。文芸部のそれぞれが真実探しを始める。

きらめく星のキャロル
渡部園美
ウィリーは8歳の男の子。毎年、クリスマスの前になると、お父さんと一緒にクリスマスの準備をします。ところが、今年はお父さんは遠くに働きに出かけなければんりません。お父さんと一緒にクリスマスツリーの準備ができないので、妹のベスはサンタクロースにクリスマスツリーをお願いします。ある日、学校でサンタクロースはいないと聞いたウィリーは心配になり、妹のベスのために、自分でクリスマスツリーを作ろうとします。森にもみの木を切りに行き、秘密基地のリンゴを取りに行き、ためたお小遣いでツリーのてっぺんに飾る星を買います。ツリーの準備は整いましたが、ウィリーは帰り道に出会った困っている人たちに、もみの木も、リンゴも、星もゆずってしまいました。妹のためのツリーを作れなくなってしまったウィリー。そこへ、ニックという青年がやってきます。ニックはサンタクロースを信じるように言います。ニックの言うとおりにしたウィリーがクリスマスの朝に見たものは……。
クリスマスキャロルの調べにのせて語られる小さなクリスマスの物語です。

CHANGER
中尾桜子
中学2年生の夏、図書館で久々に再会した小学校の友達。昔話をする内に彼らはかつての宝物を探しに行くことにする。変わりたい、変わりたくない、変わって欲しくない。それぞれの思いを抱えて、それぞれが変わっていく。──私たちは本当に変わりましたか?

普通とは、らしさとは。
野本遥妃
高校生活初の夏休み、結弦と千夏津は、自由研究の材料集めに図書室へ。そこで、綾人という男の子に出会います。はじめは少しぎこちなく、あまり良い出会いとは言えない3人でしたが、会話をするうちに、だんだん3人の心が開いていき、笑って雑談できるほどの仲に……。そして、3人それぞれの悩みについても明かされていきます。
周りと違う自分について、普通に縛られた社会について、それぞれの思いをぶつけ、「普通とは、らしさとは」を問い、それぞれの答えを見つけていく物語です。

くの一の道
小池恵愛
江戸の町で盗みを働く孤児お七は、くの一の3人組に危ういところを救われる。彼女らは素性を明かさず庶民を助ける。「世直し霧生」であった。
行く当てもなく彼女らの仕事を手伝うことになったお七は、とある呉服屋に侵入。そこではなんと、詐欺や賄賂が横行していた。

巴・TOMOE
山本春美
中学2年生の巴は、仲の良い友達の真似ばかりしてしまう。
そんなある日、自分の名前の由来となった「巴御前」の事を知る。
そして「巴御前」の事を調べていくうちに、本当に仲の良いことは、自信を持って生きていくこととは、何かを、考えるようになっていく。

夜明けを、君と。
山田実和
3年前の大地震で、大好きな父は自分を守ったことでなくなってしまった。その日以降心を閉ざす真澄。3年経った今も後悔が消えることはなかった。そんなある日、クラスに翼という転校生が来た。翼やまわりの友人たちとのかかわりを通して、真澄の心は変わり始めていく。

星々の光
中安彩乃
星南にとって、姉の存在はコンプレックスで、新聞部の部員たちは眩しかった。コンクールで賞を受賞するような姉。個性強めで面白い部員たち。
星南は自分の在り方に悩みを抱えていた。「私って……何?」
だがそれは星南だけの悩みに留まらず……。
新聞部と写真部で起こった衝突の末に、私たちが導き出した「自分とは何か」、どうぞ御覧あれ。

新聞部の先輩が仰った素敵な言葉が、あなたの心にも響くことをここで誓おう。

チェンジ・ザ・ストーリー
辻村順子
そこは、座敷ワラシの住む「人が生まれる前の世界」。生まれる順番を待ち望む座敷ワラシたちと、人間の世界にあきれて生まれることを望まない座敷ワラシたちが住んでいる。
そこに登場する、少年少女。生まれた後の未来があまり明るくないと知った彼らは、生まれることを迷う。あきらめるのか、それとも……。「どの座敷ワラシも生きたい!と思える未来を、自分たちで築いていけばいい!」
「自分の力で流れを変えていこう!」現代を生きていく子どもたちに考えてほしい、防災や環境保全、食料問題、情報の活用、インクルーシブな共生社会の実現について考えさせる劇。

  
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