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フラジャイル・ファクトリー戯曲集01。戯曲6編を収める。 |
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海士
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村木直 |
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真珠の養殖……日本人が開発した技術を相伝しながら、海を渡った技師たちがいる。時代を超えて、国籍も超えた無名の技術者たちは、今も世界の海上で生きている。ここ……西豪州の僻地にあるインド洋の入り海にも、南洋真珠の花珠に人生をかけた技師たちが……。 |
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ガーデン |
遠藤高子 |
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場所はホテル。メイドは客室をメイクアップし、ポーターはスーツケースを運ぶ。しかしその様子はどこか不自然。ポーターは見るからに重そうなスーツケースをバスルームに運び入れ、メイドは赤い花束を手にバスルームから姿を現す。そこにいったい何が……。赤い花がホテルの庭を埋め尽くす頃、ゆるゆると謎は解けてゆく。 |
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防波堤のピクニック |
上原英司 |
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寂れた海岸の防波堤で、冬場のシラスウナギ漁に情熱を賭す若者たち。 そこへ、この海を出て行ったまま音信不通だった女が突然帰ってくる ──。閉塞から逃げ出そうとすればするほどに、更に複雑な迷路に迷い込んでしまう彼らの絶望を描く。 |
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リヴァイアサン |
小里清 |
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小奇麗な新興住宅街の一画に、「ゴミ屋敷」と呼ばれる破屋がある。近隣住民の苦情も我関せず、主である独居老人は、毎週火曜日、廃棄物の収集を欠かさない。燃えないゴミで埋め尽くせば、火事の心配もないというのがその言い分だ。そんな老人のもとに、ある日、頼んでもないホームヘルパーが次々と訪ねてくる。何でも街に依頼されたという。献身的な介護に気を許したのも束の間、老人は常軌を逸したサービスに衰弱していく。 |
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佳子のさくら |
佐藤喜久子 |
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死の床の老女。付き添っているのは辛苦を嘗めてきた女。2人の共通の愛読書は空想で困難を乗り越える『赤毛のアン』。2人は想像でスイスの山を登り、老女の家への道を辿り、1本の桜の木に。老女には誰にも打ち明けていなかった秘密があった。 |
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水底の玩具 |
切塗よしを |
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世間とは何だろう。戦争に加担する事態に寡黙を装っていたかと思うと、卑近なゴシップには過剰な反応を示したりする。その空漠たる対応には嫌悪すら感じてしまうが、私自身もまた世間を構成している一員なのである。この戯曲は、そんな世間に翻弄され、やがて水底に沈むことを余儀なくされてしまう人々の姿を描いたものである。 |
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Fragile Factory(フラジャイル・ファクトリー) |
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1年に1本の戯曲作品を書き上げることを目的とした劇作ワークショップ。
2004年、日本劇作家協会主催の戯曲講座で学んだ受講生と、講師を務めた劇作家小里清によって活動を開始する。
唯一の理念は、「書くということは、書き続けるということ」。
これまで生まれた作品は、日本劇作家協会新人戯曲賞・文化庁舞台芸術創作奨励賞・AAF戯曲賞などを受賞したり、最終候補にノミネートされたりしている。
それらを編纂したのが、フラジャイル・ファクトリー戯曲集である。今後も1年に1冊ずつ刊行していく予定。 |
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