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岩手・ぶどう座の40年にわたる活動から生まれた、地域に生きる演劇論、地域を活かす文化論。自らの仕事と地域の先達、宮澤賢治、松田甚次郎らを論じる中で、現代日本の文化を地域の側から逆照射する。 |
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【もくじ】より |
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第1章 漂白と定住 |
1 「地域」をめぐって |
演劇成立の基盤/戦後民主主義運動の出発/新劇との出会い/この違和感はどこからくる/地域演劇運動への芽生え/地方か地域か/再び地域運動が/それに続く状況 |
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2 漂白と定住 |
私の原体験/漂白と定住者/漂白者の立場/定住者芸能の源流/黒川能と上海京劇のこと/何故かくも伝承に/大償でみた「鐘巻」のこと/定住と漂白の間をゆく |
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第2章 素顔と仮面 |
1 折り重なる地域の歴史 |
崩れゆく地域社会/「どぶろく農民の墓」/素顔をさらす/観客もまた |
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2 演劇の二分性 |
プレヒトから学ぶ/演劇の二分性/何故仮面か/持つということ |
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3 素顔の中学生 |
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第3章 遠く立つ人─宮沢賢治 |
1 『饑餓陣営』の意味 |
再会の場所/賢治劇の反戦思想/賢治劇のユーモア/バナナを食べながら/子が演じて親が観て/饑餓の背景/今に生きている賢治劇 |
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2 『植物医師』の構造 |
方言による文体/くり返しの手法/逆転してゆくくり返しの力/現実をこえてゆく視点/有力者たちの植物医師 |
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第4章 存在としての地域演劇─松田甚次朗 |
1 『水涸れ』の成功以後 |
宮澤賢治との出会い/賢治の教え/甚次朗、村へ帰る/『水涸れ』上演/貯水池築造なる/「酒造り」その他/農民としての甚次朗/宮家更生資金拝受/最上/共同村塾のこと |
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2 存在としての地域演劇 |
甚次朗評から/甚次朗演劇論/二作品を読んで/台本の残らぬ演劇/賢治の場合/「存在」と「方法」 |
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第5章 表現としての地域語 |
1 地域の作家たちの地域語 |
共通語と地域語/佐々木喜善の文体/宮沢賢治の地域語/松田甚次郎の場合 |
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2 文盲の文化としての地域語 |
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3 専門用語と民衆語源 |
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4 古層意識へ |
「森」と「盛」/音と臭いと/「ひら」の発見/古代人の感覚へ/舞いを舞う |
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第5章 想像力の場としての地域 |
1 地域の精神と語り合う |
自然から聞いた話/死へ向かう小十郎/死を浄めるために/「ごまざい」のこと/「古事記」の中のごまざい/鹿踊りのはじまり/本当の精神を語ろうとして |
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2 昔話の中の想像力 |
語られる場所/昔々あるけずおん/「猿聟入」話/命名のこと/神楽幕のこと/外国でみた幕のこと/考えながら楽しむ |
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3 わが創作体験 |
事件になる/『長町選挙』のこと/留まるものと飛翔するもの/猿野物語の世界/伝説となる事件/こぼれ落ちる昔話/亡霊の手をかりて/『うたよみざる』誕生/合わせ鏡をかざして |
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4 おわりに |
運動の二方向のこと/新しい人間関係をつくる/二つの方法のかかわり/開くことと守ること/守ることから開くことへ |
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付・地域演劇論(1) |
1 はじめに |
2 地域演劇性の歴史から学ぶもの |
民話をうけついできた者/大正時代の演芸会から学ぶもの/戦争から戦後にかけて |
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3 私たちの観客 |
観客と一緒に成長してゆくこと/私たちのことなら、なんでも知っている/観客とどうつながるか |
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「素顔をさらす俳優たち」の素顔−ある編集者との対話−富田博之 |
1 戦後地域演劇運動と「ぶどう座」 |
2 「ぶどう座」が生き方を変えた |
3 「ぶどう座」は地域の力が築いたもの |
4 生きる証としての「ぶどう座」 |
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年譜 |
あとがき |