最新中学校創作脚本集2017
ISBN
978-4-89380-473-0

最新中学校創作脚本集2017編集委員会

定価

1,200円

初版

2017年3月31日
改訂版 二つの名前
志子田宣生
在日三世の朴福順(パクボクスン)は成績優秀な中学3年女子。竹島・梅山・松田の3人組は共にサッカー部を引退した今、虚ろな日々を送っている。
宮川恵は推薦入学のことで朴を敵対視して争いが起きる。それを遠巻きにしていた3人組だが、松田だけは朴にきついことばを投げつける。
期末テストの迫ったある日。自習時間に担任が席をはずした時、竹島は出席簿を見てしまう。そこには、意外にも、松田には二つの名前が書いてあった……。

愛のかけはし 〜38度線のマリア 望月カズ〜
藤田有美
韓国で「38度線のマリア」と呼ばれた日本人、望月カズ。
4歳の時、母と渡った満州で母を亡くし孤児になる。異国の土地で差別にあいながらも必死に生き抜き、朝鮮戦争にも巻き込まれることにもなる。朝鮮戦争の戦火を逃れる中、目の前で銃弾に倒れる女性に出逢う。その女性の腕に抱かれていた幼い男の子と自分の姿を重ね、助けることを決意。これをきっかけに、戦争で親を亡くした子どもたちの母親代わりとして生きていくことを決めるカズ。
反日感情の高い韓国で、貧しいながらも命をかけて子どもたちを守ろうとするカズの姿に、それまでの反日感情を持っていた韓国の人々も心を動かされる。生涯で133人もの韓国戦災孤児を、厳しくも深い愛情を持って育てたカズの人生を脚本化した。

奇跡の集落・吉浜、命 〜生かされた命、伝える使命〜
岩手県大船渡市立吉浜中学校
私たちの吉浜中学校は、岩手県の三陸海岸に臨む全校生徒30名の学校です。学区である吉浜地区は、明治29年と昭和8年の大津波において高台移転をすすめ、その先人の教えを守り続けてきたことにより、東日本大震災では他の沿岸地域に比べて被害が少なく、「奇跡の集落」と呼ばれました。
この津波演劇「奇跡の集落・吉浜」は、偉大な先人の教えや教訓をもとに、東日本大震災のことを1000年後まで語り継いでいくために、平成25年度から文化祭での取り組みとして始めました。その後、毎年脚本を変えながら、文化祭で上演しています。平成28年8月には、全国中学校総合文化祭大分大会に岩手県代表として出場し、津波演劇を上演しました。
この脚本は、平成26年度の文化祭で上演したものです。

以下、全6幕の見出しです。

奇跡の集落・吉浜、命 〜生かされた命、伝える使命〜
1幕 吉浜中・学校生活、防災・復興教育について
2幕 電波の通じない場所って天国じゃないよね、母を失った兄妹家族
3幕 母を失い震災孤児の野球少年
4幕 1 昭和8年、船出し
   2 吉浜湾で「津波石(昭和8年)」発見(H23)
5幕 復興道路・吉浜トンネル貫通の場面、トンネルにかける想い
6幕 吉浜中・教室風景、1000年後まで伝えたい!

三本脚の猫 
原案・池内麻妃/脚本・板垣珠美
人はだれも完成体ではない。心のどこかに欠けた部分を持っている。
町からの転校生彩香、クラスの女王様恵里、いじめられっ子の蘭、それを取り囲む人々もまた欠けた部分を痛みとして持っている。文化祭のクラス劇作りを通して、一歩、足を前に出すことをそれぞれが考える。
これは、個々の、クラスの、欠けた心と向き合っての再生の話です。

GHOST FRIENDS
北村明日香
近頃学校で広まっている、包丁を持った幽霊・ナナさんの噂。
怪談を楽しむ夏海たちと、幽霊をバカにして突っかかる長谷川さん。そして、巻き込まれた委員長。5人の少女たちは、夜の学校へナナさん探しの冒険に出る。果たして、ナナさんの噂の真相とは……。
少女たちの送る等身大の友情ストーリー!

いちご・いちえ
小阪紫乙乃+平成二十七年度茅ヶ崎中学校演劇部
「電車止まったりして。」大雪の日に修学旅行に行くことになった華蓮たち。でも、1年前のあの日から、華蓮はずっと元気がない。華蓮には元気になってほしいのに、と心配する周りのみんな。
1年前のあの雪の日、何があったのか。大雪で止まった車内で起こる不思議な出来事で、華蓮の心は変わるのか。
キーワードは「いちご」。
一期一会の友情ストーリーが、今始まる。

あやかしの夜
岩田花音
ミステリー研究部の部長であるアヤカは、個性豊かな部員たちと毎日楽しく過ごしていた。しかし彼女は、親友であるサツキの様子が最近おかしいことを気に掛けていた。何とか話を聞こうとするアヤカだったが、そんな思いとは裏腹にサツキの表情は暗くなるばかり。それどころか、「ずっと嫌いだった」とまで言われてしまう。
大きなショックを受けるアヤカの前に現れたのは……妖怪!?
アヤカは一体どうなってしまうのか……?

タイムトンネル
戸澤文生
舞台は中学校の科学部。3年に進級して約1か月の小田正美は、部員が2人しかいない科学部の部長。同じく3年で科学が苦手な副部長の大野悠希と一緒に、過去に戻るためのタイムトンネルを作る実験をしている。そこへ生徒会本部役員がやってきて、科学部の予算の大幅削減を告げる。部費が削られてはタイムトンネルの実験ができなくなる。なんとか実験の材料費を調達しようとする正美。実験をあきらめさせようとする生徒会長。
なぜ正美はそれほどまでにタイムトンネルを作りたいのか?
タイムトンネルは本当に造れるのか?

キャストは女子7人+男女不明の4人の11人。
上演時間約60分間。

白いキャンバスに線を描く
ちかだ よしあき
この作品は、「地域活動部」と言う一風変わった部活動を通じて出逢えた中学生たちの明るく心あふれる群像劇です。入学したての希望にあふれる1年生。3年生と1年生の狭間で部活と学校生活を楽しんでいる2年生。そして、高校受験に揺れ始める3年生たち……。
ある日、夏のイベントの参加が決まり、これを最後に引退するつもりの部長の美保。
ところが、3年間一緒に頑張って来たなつ美が、突然、部の活動をやらないと言い出した。2人は口ゲンカしたまま別れてしまう。慌てる仲間たち。部活をやらないと言ったなつ美は、実は、1学期いっぱいで仙台に転校することが決まっていたのだ。
仲間との別れまで時間がないなつ美の気がかりは、いつも無口で心を閉ざしている小学校からずっと一緒の亜季のことだった。亜季は小学生の頃いじめにあっていて、なつ美が助けたことで友達になった経緯がある。なつ美は学校帰りに、思い切って亜季に自分の思いを告げる。そして、転校のことも……。そんな最中、美保が事故で入院してしまい、意気消沈してしまう仲間の前に、部活をやらないはずのなつ美が現れて、美保が回復するまで手伝うと言う。盛り上りを増す仲間たち。
夏休みが始まり、作業の追い込みに入ったある日、大切な仲間に黙ったまま転校することが出来ないなつ美が訪れる。転校を知らされて驚く仲間たち。
美保は、なつ美への餞別にと、大きなキャンバスに線を描き入れることを提案する。……そして、仲間全員の優しさと思いを一身に受けて、なつ美が白いキャンバスに溢れ出す思いを込めて1本の線を描いて行く……。

この作品は、発表する劇場の舞台機構を想定して作った作品ですが、どんな条件の舞台であろうと、それなりの場面の表現が出来るはずです。
  
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