● |
教育におけるダンスとは?
「身体の動きを通して創造力を育てる」というダンスの理念に基づき、
グループでの創作のプロセスを重視した実践書。 |
|
|
古来より人々は五穀豊穣や生活の安寧を神に祈り、感謝し、悪霊をはらい清めるため、そして仲間の団結のため勇気を鼓舞したり楽しみの分かち合いなど、様々な場面で踊りを踊ってきました。舞踊を持たない民族や国はないと言われるほどです。
では、踊り(ダンス)とはいったいどんな行為でしょうか。先にあげたように生活に密着したダンスは人間が創りだせる最も美しく良いものであり、だから祈りと感謝の対象である神の前に捧げられたのです。それは次第に新しい動作やリズム、衣装や空間の創意がほどこされ、神というよりは人間自身が楽しみ、美を鑑賞することになっていきます。
ダンスは身体による新しい時空間世界を創り出す楽しい遊びなのです。それは音楽や絵画などと変わりない精神性豊かな遊戯といえます。ただ、これらの遊びとダンスが特徴的に違うのは「身体」という私たちの全存在そのものを投入する行為であるということではないでしょうか。
私たちはダンスの中で、身体(からだ)、動き、リズム、空間、そして色彩の工夫、さらには他者存在との交流が可能なのです。
ダンスという行為に含まれるこれら多くの要因を考えるとき、私たちは子どもたちの充実した心身の成長を願い、仲間とのつながりを実感する体験としての教育のシステムの中にダンスを位置づけたいと考えます。
ダンスという身体を用いた自分表現、他者存在への気づきとコミュニケーション、そして身体の動きが創り出す新しい時空間世界に美と感動という芸術的な価値を置くことができます。 本書は、関西圏内の中学校、高等学校、そして大学でダンスの指導や舞踊創作活動をしている人たちが中心となって、1998年以来「指導者実技講習会」で教育現場の先生方に提案してきた内容を、再度検討を加えながら纏めあげたものです。 |
「はじめに」より 表現運動・ダンス指導者研究会 会長 平井タカネ
|
|
|
目次 |
|
はじめに 表現運動・ダンス指導者研究会会長 平井タカネ |
序文 碓井節子 |
|
1 ウォーミングアップ ─からだを知ろう─ |
1「歩く」をベースに ─「自由に歩く楽しさ」を感じる動き─ |
2歩く、スキップ、ツーステップ、跳躍などの基本ステップを中心にした動き |
3動きを意識化する ─普段意識して使っていない筋肉や関節を動かす─ |
4ストレッチ・緊張・弛緩を組み入れた動き |
5体ほぐし ─「呼吸と動き」をむすびつける─ |
6からだでおしゃべりを楽しもう ─人とのかかわりの中から─ |
7リズムにのって! UP・UP・UP |
8流れのある動きを身につける ─イメージを動きに連動させる─ |
9動きの面白さを体感しよう ─動きをつかむ─ |
コミュニケーション・ワークがダンスになるとき |
舞踊力1 感じとる力(模倣と創造) |
舞踊力2 周囲と呼応し、空間を共有する |
からだを知ろう |
|
|
2 動きの発見 |
1ゲーム修行 ─遊びの原点を探る─ |
2アイデア探し ─身近なものから発見─ |
3仮面で変身! |
4デジタル・ちっくする |
5身近な動きがダンスになるとき |
6たった一つの動きから |
7シンプルな動きをバリエーションさせる |
8ダンスボディとは ─多様に動くからだ─ |
9即興をふんだんに取り入れたダンストレーニング ─各部位から全身運動へ─ |
|
3 コレオグラフ(舞踊創作)への道 |
1マスゲーム ロック in 音頭 |
2コレオグラフへの道1(創作の基本) |
3コレオグラフへの道2 ─一拍の動きから─ |
4響き合うからだを目指した作品づくり |
5コレオグラフへの道3(創作の初歩)─小さな作品づくり─ |
6ダンスとマイムのちがい |
7コレオグラフへの道4(群舞の創作) |
8大群舞 Climbing ─繋ぐ・繋げる・繋がる─ |
9手づくりダンス体験 ─グループワークを通して─ |
|
4 応用編 動きの発見からコレオグラフへ |
1声と動きのコラボレーション |
【コレオグラフへ】海よ!Beyond the Sea |
|
2音(楽器)を感じて動いてみよう |
【コレオグラフへ】動きのオーケストラ「交響曲『?』」 |
|
3ヒューマンシャドウの夢空間 ─影と遊ぶ─ |
【コレオグラフへ】取り込め!跳び出せ!「マジックダンス」 |
|
|
|
あとがき 内山明子・殿谷成子 |
|
引用文献 |
参考文献 |
|
表現運動・ダンス指導者研究会 |
「指導者実技講習会のあゆみ(1998─2010)」と本書の関係 |
|
|
|
表現運動・ダンス指導者研究会 会長。
名古屋学芸大学ヒューマンケア学部教授。同大学院子どもケア研究科教授。奈良女子大学名誉教授。
日本ダンスセラピー協会会長。America Dance Therapy Association(セラピストのスーパーバイザー資格)。 |
|
|
|
1947年 大阪府生まれ。
近畿大学文芸学部教授(芸術学科舞台芸術専攻)。日本教育舞踊研究所、神澤舞踊研究所、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ・ラバンセンターを経て、さくらIIダンスプロジェクトを主催。大学では、舞踊表現実習、舞踊創作法、舞台記譜法等を指導。作品は、国内のみならず、ロンドン、エジンバラ、ヨルダン、リトアニア、ベルギー等の諸外国においても公演。主な作品名『二月の裸樹』『私たちはただの旅人』『胎動』等。
翻訳『舞踊創作の技法ー身体運動の根源に触れるー』リーン・アン・ブラム、L・タリン・チャプリン(共著)(2005年、新宿書房) |
|
|
|
1963年 広島県生まれ。
大阪青山短期大学幼児教育・保育科准教授。大学時代、京都の劇団そとばこまちに所属し様々な表現方法に出会う。インド古典舞踊研究所、神澤舞踊研究所を経て、現在、韓国気功、武道などの身体訓練法を研究。大学では、身体表現、子どもの遊び等を指導。
著書『子どもの育ちと遊び』(共著、1997年、朱鷺書房)、『子どもの運動・表現遊び』(共著、2010年、大学図書出版)等。 |
|
|
|
1958年 大阪府生まれ。
大阪国際大学人間科学部人間健康科学科准教授。大学時代、モダンダンス部で数々の作品を創作する。卒業後、表現運動・ダンス指導者研究会主催の「子どもと教師のためのダンスフェスティバル」の教員部門にソロ作品を発表。現在、中学校・高等学校教諭(保健体育)を目指す学生にダンス創作法を指導。 |
|
|