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90年代の日本の「劇現場」は行き詰まり、大きな転換を余儀なくされてきたようにわたしには思われたのだ。それなりに「元気だった」80年代に比べると、明らかにネガティヴに映った。おそらくその気分は、世紀末を経て、新世紀まで引きずっていることだろう。それを解明するために、今一度演劇を原理論的な基底に立ち戻り、あわせて「劇現場」がどうなっているかを考察してみたい。 |
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【目次】より |
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1 劇現場の思考 現代演劇を成立させるために |
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2 テクストと上演 |
近代戯曲を読み直す |
劇言語の方法 |
テクストの変容 |
テクストの消失点 |
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3 身体と演技 |
局部化された身体と演技 ベケットを今日上演すること |
テクノロジー/身体/演劇 |
身体の演劇 解体社の舞台から |
表現と身体 太田省吾 |
フィジカルシアターとは何か |
フィジカルシアターのために |
フィジカルシアター・フェスティバルに参加して |
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4 劇場と社会 |
近代空間を異化するテント劇場 |
都市の想像力 |
消費空間としての劇場 |
劇場空間の近さと遠さ |
公共劇場とレパートリー |
過渡期の公共劇場 |
メディアとしての劇場 創造と関係の空間 |
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5 劇現場とのダイアローグ |
対話空間の再構築へ 演劇的なるものの可能性 対話者・里見 実 |
演劇を壊し、演劇をつくる 私のワークショップ考 対話者・竹内敏晴 |
舞台空間からパブリック空間へ 対話者・小山田 徹 |
記憶の旅 対話者・高谷史郎 |
根源に向かう演劇 対話者・太田省吾 |
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西堂 行人 (にしどう・こうじん) |
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演劇評論家。近畿大学文芸学部(舞台芸術専攻)教員。
1954年東京生まれ。早稲田大学文学部(演劇専修)卒業。同大学院(芸術学)中退。
70年末より主として日本のアングラ・小劇場運動に随伴しながら演劇批評活動を開始。
80年後半より海外の演劇祭等を訪れ、90年よりドイツの劇作家ハイナー・ミュラーを素材としたプロジェクト(HMP)を組織し、2002年8〜9月には「かなざわ国際演劇祭─ハイナー・ミュラー/ザ・ワールド」を企画する。
2003年10〜12月には東京で中国、韓国を含む18劇団参加による「ハイナー・ミュラー/ザ・ワールド2003」フェスティバルの実行委員長を務める。 |
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